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白紙一枚目 [白紙]

そこにあったのは、何の変哲もない或るブログの、白紙のページ。
このブログの更新主のやることには察しがついたのでしょうか?
或いは、URLの仕掛けに気付いたのかもしれません。
誰にも見つからなければよいと願われて書きつけられた、紙と同じ色のインクの文字。
貴方がその白紙に指を走らせると、意図して隠されたと思しき文字が浮かび上がって来ました。

誰も得などしないけれど、それ故に書く意味がある。
書いてから、魔砲少女まじかる☆りぷるんに関連を持たせる意味があったのかと一人悩む夜もありましたが、どっちにしろ馬鹿なことなので後悔しないうちに公開しておきましょう。
当作品が無事に完結する保証など、どこにもありません。

気を付けてほしいことには一つ。
初っ端から華麗にネタバレを含むので、
先に、魔砲少女まじかる☆りぷるんをお読みすることをお勧めいたします。

当作品は、MFLの世界を舞台にした、偉大なる先駆者やみなべの著作『魔砲少女まじかる☆りぷるん』の二次創作であり、
MFL、魔砲少女まじかる☆りぷるん、両作品の世界観や雰囲気といったものをぶち壊す可能性に満ちております。
特に、チキンな私めは他のプレイヤーのキャラクターを動かす勇気がなかった分、 ニェポやツェーテなど、NPCとのやりとりが多くなってしまい、貴方の愛するキャラクターたちのイメージを台無しにすることが予想されます。
この作品を読み進めるにあたり、細かいことは気になさいませんよう心よりお願い申し上げます。
ちなみに、魔砲少女まじかる☆りぷるん原作者のちゃんとした形での許可など取っていないのでした。
魔砲少女まじかる☆りぷるんの舞台を借りた、全く別の作品となり下がっておりますので、どうぞたかが二次創作の気持ちでご覧下さい。
大変長くなりましたが、最後に、当作品に登場するアニャムーの名「橙」は、「ちぇん」とお読みくださいますよう、よろしくお願いいたします。



--- キ リ ト リ ---



これより始まるは、或る娘の物語。

魔砲少女としての使命を負ったヒトがいた、
使命を負ったヒトを助けるよう生まれたケモノがいた、
自分の在り方を取り戻すために手を穢したヒトがいて、
好き放題やって封印されたヒトがいて、

・・・そして、そういった壮大さも特別な力も、傍にいるケモノも無いヒトが沢山いる。

そんな凡庸な人々の内の一人にすぎない、ネタと無茶と裸足をこよなく愛する娘が、
特別な力を持つ人々に混ざろうと奮闘した日々の物語、なのかも知れない。
はたして彼女の奮闘はいかなる実を付け、或いは付けなかったのか?
いぢめる神様といぢめられる神様にしか、分からない。



『暴走少女スィンパ』


オープニングテーマ 『誰も噂しないジェントルガール』
作詞作曲:暴走少女スィンパ制作委員会
歌:ミルク・プリンエル・バケット




第零話(謎) 紳士的にはじまれば




ユタトラ諸島は人の暮らす数多くの島と、人々の活動の拠点となるタウンのある島から成る、島々の連なりである。
タウンの規模は街と呼ぶには小さく、ひとたび話題になるような事件が起これば翌日にはユタトラ中に知れ渡ることなどザラだった。
曰わく、南の海には何やら大きな海洋生物が棲みついているらしいだの、
曰わく、遠征先で倒れたブリーダーたちを回収する謎の覆面3人がデーボとボバンとガラカラに似ているだの。
ヴァシアタ出身の少女が魔砲少女になり、長老衆の管理する倉庫の炎上騒ぎの一件を片付けたという話が尾ひれ背びれを付けながら島中に広まって、
とある一人のブリーダーの耳に入ったのは、やはり事件のあった翌日なのであった。

某ギルドファームの和やかな午後。
木漏れ日が差し、傍にはサラサラ川が流れ、雲はのんびりと風に運ばれて行く。
この遠征日和にギルドのメンバーは出払っており、ついでに助手連中も ギルド寮とも言うべき建物でお茶を嗜んだり引きこもって研究に励んだりで、表には一人と一匹がいるのみ。
難しい顔で考え込んでいたその娘は、ようやく納得のいくことを思いついたようで丸太机の席から立ち上がった。
「橙よ、これはもしかして来たんじゃないだろうか?」
「にゃー・・・」
目を輝かせて話しかける娘に対して、橙と呼ばれたアニャムーは面倒くさそうに、渋々相槌を打つ。
娘の装いはさっぱりしており、上下は夏の衣、手足はヴァシアタ生まれを示す白い肌をさらけ出して、故郷より暑いユタトラの気候に適応せんとした格好をしている。
上衣が風にひるがえって、裏地に刺繍された名前がチラついた。
『ヌtソバ』
彼女の名はスィンパ、自分で刺繍したものか、とてもそうは読めないのであるが。
スィンパは、自分の考えにふんふんと満足げに頷きながら橙の正面にあぐらをかいて座り込み、橙の方はやる気なさそうに丸まって目を閉じた。
そこを構わず語りだすあたりが、飼い主側も慣れたものだ。
「本日のお題は街で噂のマジカルキャノンガールについて」
橙は耳をピクリとだけ動かして、聞いてますよちゃんと、と意思表示をした。
「昨日未明、長老衆の管理する倉庫が何者かによって放火されましたが・・・ってニュースキャスター調じゃイマイチ熱さが足りないなぁ」
ごほんと咳払いすると、一転して勢いのままに喋り出す。
「突如として燃え上がる長老の倉庫!現れたるはピンクの衣装に身を包んだ魔砲少女!雨を呼んでそのまま火を消したとか、燃えてる部分をガラガラ崩して消し止めたとか言う人もいたけれど、現場からほど近い情報提供者ツェーテさんから有力な話を聞いちゃったよ私は」
ピクリ、不穏なテンションを帯びた声色に反応して、橙の耳が動く。
「魔砲少女を前にして、崩れる倉庫から現れた、人影・・・」
ぐ、と溜める。橙は興味なさげに欠伸をした。
「それは、青い衣装に身を包んだ謎の美女だった!」
スィンパはバネ仕掛けのように勢いよく立ち上がって、胸一杯に息を吸ってから、その息で更に言う。
「 謎 の 美 女 !! 」
テンション上がってきた!と言わんばかりの渾身の一声。
何かを察した橙はその場から逃げ出そうと腰を浮かせたが、一歩間に合わない。
首根っこをひょいと摘まれて、そのままスィンパの目線の高さまで持ち上げられると、悪戯を思いついた子供のように、活き活きとした目と視線がかちあった。
例えばこんな目をした子供が居たとして、止められる者が居ようか?
否、居ない。
本気になった子供というものは性質が悪く、どこまでも強かに目標に向かって走って行くのだ。
「橙!私も謎の美女になるぞう!!ひゃあたまんねえ!!」
「にゃんにゃー・・・」
話を聞くだけでは、橙には美人の放火魔ということしが伝わらなかったのだが、主人には謎と美女、その二つの要素だけで十分らしい。
この前は、瘴気をまとう孤島の単身突撃に付き合わされた、その前は、英才と称してひたすらインゲン豆を食べ続けるというグルメレースをさせられた、その前は・・・前は・・・・・・
とにかく嫌な予感の尽きない橙だった。
聞いただけで疲れますと言いたげにぐったりした橙を横目にしつつ、スィンパは計画を練る。
「美女というところも大きなポイントであるけれど、謎に包まれていること、これが大事だねぇ・・・さて具体的にはどうしたものか」
「にゃん」
橙としては、お前には無理だ止めておけ、というようなことを言ったつもりであったが、スィンパは感慨深げにうなずく。
「・・・・・・ほう、魔砲少女のピンチに颯爽と登場・・・助力をしてスマートに去る・・・やだ橙なかなかカッコいいじゃないそれ!」
「うにゃんにゃ」
「ハッ、確かに、次の事件はいつ起こるか分からない・・・とにかくも急いで謎の美女になるべく準備を・・・」
駄目だ、最早この暴走少女はなんにも聞いちゃいない。
「いやいやまずね、一言いわせてよ」
物言いたげな橙を制すると、ぐっと拳を作って天に突き上げ、彼女は宣言した。
「ユタトラ中に私の名を轟かせてやるわ!!」
橙は、呆れるばかりで返事も出来ず、へたりと座り込んだのだった。


いつも通りのユタトラ諸島の、いつも通りの某ギルドファームに、一際異様な志。
こうして一人の娘が、何かよくわからない役柄を目指して立ち上がったのである。
彼女が島を騒がせる日が来るのかどうか・・・
いぢめる神様といぢめられる神様にしか、分からない。




エンディングテーマ 『暴走爆走大驀進!』
作詞作曲:暴走少女スィンパ制作委員会
歌:スィンパ
暴走:スィンパ

【次回予告】
にゃ          字幕:(橙です。)
にゃんにゃー      字幕:(主人の思いつきで大変な何かが始まってしまいました。)
うにゃ、にゃんにゃ   字幕:(まずは謎の美女に必要な物を求めて海原へ出かけるようです。)
にゃーにゃう、うにゃあ 字幕:(果たして無事に戻って来れるのでしょうか?)
んにゃ、にゃーにゃう  字幕:(次回、第一話(違) 紳士的に着こなせば )
にゃふん        字幕:(とても、疲れます。)



--- ア ト ガ キ ---



今までのどんな夏よりも、私の好き放題が通せて楽しかった夏でした。
終わってしまった夏に、今こそ一発、きたねえ花火を手向けましょう。
誰も待っちゃあいなかったでしょうが、待たせたな、私だ!

白紙などというまどろっこしいことをいたしましたが、いかがでしょうか。
恐ろしく読みにくいことになってしまったと気付いた時には遅すぎました。
白紙の紙に書きつけられた物語に対して、評価や感想など要りません。
これで、魔砲少女まじかる☆りぷるんの裏で展開されていた程度の存在感を演出している、つもりです。

今回の第零話は導入ということで、ごくごく短くなっております。
ちょうど、魔砲少女まじかる☆りぷるんの第一話の事件がユタトラで噂になった頃のお話です。
オープニングテーマタイトルが『噂のマジカルキャノンガール』なのですから、ユタトラ中の噂になっても良いだろうとの個人解釈が炸裂いたしました。二次創作とは、こういうことです。
場面を飛ばすのが苦手であるので、蛇足的な描写が多くなり、その分、次の回からは文章量も格段に多くなってしまっています。

全体としてお話は、ニェポが海原を縦横無尽に駆け巡る冒険譚、橙の尽きぬ苦労劇、スィンパがちったぁ大人になると良いね成長物語。
・・・・・・に、なると良いと思います。・・・良いと、思います。
ニェポさんが大活躍です、とても。

また、魔砲少女まじかる☆りぷるんの本編そのままで辻褄が合うように書く予定のため、スィンパは全く活躍しません。
そういう意味では原作がネタバレです、主人公は全く活躍しません、頑張りません。表舞台に立ちません。立ってても気付かれません。
活躍のしようが無い物語を書いて、どうしようというのでしょうね。
そんな私も得しない誰得物語、第四話までの制作で止まっているので、そのあたりで更新が滞るかもしれません。
どこがどう繋がっていくかは後で思いつく人なので、先の展開に支障が出れば、既にあげた物語を書き直すことも考えております。
つまりまず、完結するかどうかが分からない状態の物語であることを強く申し上げておきます。

そんな中でも、ひとつ大きく感謝したいことには、
完結まで書きあがってから公開したかったものの、それを待てば現実時間はどんどん過ぎていくと葛藤しているところ、無神経に急かして下さった原作者様にありがとうを。
そして、おめぇ様の物語がこれから裏でどうなっていくか見てやがれざまぁみろを。

言い訳したいことばかりでした、アトガキの長さは、そのままこの物語全体への私の自信の無さです。
それでは、また次の白紙もどきにて会いましょう。
暴走少女スィンパは、魔砲少女まじかる☆りぷるんの放送時間にあやかって、毎週土曜日午後11時半に公開していくそうですよ?
って、お婆ちゃんが言っていました。







ここから先は、滲んで読めなくなっている。

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